東京高等裁判所 昭和47年(ウ)213号 決定 1972年4月12日
申立人 大沢清子(仮名)
主文
本件申立を棄却する。
理由
本件申立の要旨は、東京家庭裁判所は同庁昭和四五年家(イ)第四四二八号遺産分割調停事件について昭和四七年三月九日付をもつて同事件を神戸家庭裁判所に移送する旨の決定をなし、抗告人は右決定を不服とし、これに対し即時抗告の申立をしたが、抗告人は最低生活者であるから、右移送決定に対する抗告事件(東京高等裁判所昭和四七年(ラ)第一九八号)について訴訟上の救助を付与されんことを求める、というにある。
しかしながら、家事審判規則第一一条は、「事実の調査、証拠調、呼出、告知その他必要な処分の費用は、国庫においてこれを立て替える。但し家庭裁判所は、費用を要する行為につき当事者にその予納をさせることができる。」旨を規定しているのみであり、また、家事審判法第七条の準用する非訟事件手続法第一編の規定は、民事訴訟法第一編第三章第三節の訴訟上の救助の規定を準用しておらず、以上の如く明文の規定がないにもかかわらず、単なる解釈で準用を認めることは妥当でないから、右移送決定に対する抗告事件については、民事訴訟法の規定の準用による訴訟上の救助を受けることはできないものと解するのが相当である。
よつて本件申立は失当として棄却すべく、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 浅賀栄 裁判官 田中良二 川添万夫)